島後には、八百杉、乳房杉、かぶら杉、マド杉の4大杉をはじめ、鷲ヶ峰のふもとの杉の天然林など、樹齢数百年を越える杉の巨木が多数あります。
杉には大きく分けて3つのタイプがあり、太平洋側に分布する「オモテスギ」と日本海側に分布する「ウラスギ」、屋久島に分布する「ヤクスギ」となっています。
隠岐にもともと自生するスギは「ウラスギ」であることが分かっており、スギの研究から氷河期の植物たちの移動が少しずつ解明されています。
本州内陸では生育できなくなった杉が日本海側の中でも特に海に突き出た隠岐を逃避地としたのです。
その後、温暖化にともなって離島となった隠岐に最終氷期の杉たちが閉じ込められました。隠岐には現在もその子孫たちが残っており、固有の遺伝子を持っています。その杉たちは隠岐の貴重な宝といえるものです。
杉のように現在隠岐の植生を構成する不思議な植物たちも隠岐を逃避地としたのではないかと推測されています。