伊勢命神社

伊勢命神社(いせみことじんじゃ)は、続日本後記(しょくにほんこうき)によると仁明天皇嘉祥元年(849)、明神大社に列せられた神社です。現在の本殿は天保 12 年(1841)造営の隠岐造りで、屋根は昭和に銅版に葺きかえられていますが、龍の彫刻を施した立派な造りです。伝説によると、夜に神光が海上よりやって来て字仮屋(あざかりや)という地に止り、毎夜光輝き、神託を受けて伊勢明神を祀ると光がおさまったと云います。字仮屋は北西風が強く現在の地に社殿は移されました。字仮屋からは弥生時代の遺跡が発見されているので、久見に上陸された伝説は史実ではと想像されます。
ご祭神は、古事記や他にお名前の見えない「伊勢命(いせのみこと)」ですが、古記録を火災で焼失いているため、正確なことは分っていません。言い伝えでは猿田彦(さるたひこ)や神宮
皇后(じんぐうこうごう)を祀ると云われていますが、伊勢という名前から、伊勢神宮や伊勢地方の磯部との関係があるとする説があります。
天平時代の隠岐国正税帳に現在の久見地区を含む役道(穏地)郡の小領として磯部直万得の名が見え、平城京の木簡からは知夫利評の石部真佐支の名があるので、隠岐に磯部が置かれていたことが分ります。神社には県の無形文化財「久見神楽(くみかぐら)」が大祭のある西暦奇数年は7月15日に西暦偶数年には7月16日に行われます。