黒曜石は隠岐を代表する岩石の一つであり、旧石器時代から石器の材料として利用されていました。
黒曜石は産地ごとに含まれる微量成分などが違うため、化学的な分析で産地を特定できるという特徴があります。このため、黒曜石の産地は国内でも70箇所以上知られていますが、石器に利用しやすい良質な黒曜石の産地は隠岐を含めて6箇所ほどで、中国地方では唯一の産地だったことが判っています。
隠岐の黒曜石は遙か3万年前から中国地方を中心として新潟県や四国地方まで運ばれており、このことは隠岐の黒曜石が良質であったため、古代の生活には欠かせない石であったことが想像されます。
また、隠岐の黒曜石の見つかる遺跡の分布を調べていくと、当時の盛んな人と文化の交流のルートも見えてきます。黒曜石が運ばれた道は、その後の歴史でもたびたび登場する、人と文化の通り道、原点となりました。